近畿大学医学部 呼吸器外科主任教授
光冨徹哉先生
日本における、がんの死亡原因トップである肺がん。肺がんは、大きく「小細胞肺がん(SCLC)」と「非小細胞肺がん(NSCLC)」の2つに分けられ、そのうち、肺がん全体の約9割を占める非小細胞肺がんは、抗がん剤や放射線療法が効きにくいといった特徴を持つ。
近年、分子標的薬の登場により、非小細胞肺がんの治療は選択の幅が広まるとともに個別化が進んでいる。しかし、使用できる分子標的薬の数はまだ少なく、投与可能な患者が限られていたり、治療効果にも限界があるという。
こうした現状をうけ、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は11月5日、「第2回 Cancer Media Academy」と題したメディア向けセミナーを開催。近畿大学医学部 呼吸器外科主任教授 光冨徹哉先生が「肺がん治療における分子標的薬の位置づけ~現在・過去・未来」と題し、肺がん治療における分子標的薬の位置づけと分子標的薬による個別化治療の実態について講演した。
光冨先生は、肺がん治療薬の歴史、EGFR遺伝子変異やEML4-ALK融合遺伝子などドライバー遺伝子変異の発見、がんの獲得耐性、治療法の進歩による肺がん分類の細分化などを説明。最後にこのセミナーのまとめとして、
(1)分子生物学的な理論的な根拠に裏付けられた分子標的治療開発が大きな成功をもたらした
(2)耐性をいかにおこさないようにするか?おきた耐性にいかに対応するかが大きな問題
(3)肺がんの恐るべき多様性に対応する、効率の良い薬剤開発の必要性がある
の3つを挙げた。特に2つ目の、がんの獲得耐性については、耐性を出にくくする併用療法の開発や新たな分子標的薬の開発、耐性機構別の対策が求められるとした。(QLifePro編集部)
▼外部リンク
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
http://www.boehringer-ingelheim.jp/