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東大 マウスでメタボリックシンドロームにおける新たな免疫細胞の役割を解明

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2013年11月06日 PM08:59

脂肪組織にある制御性B細胞が脂肪組織の炎症を抑えることを発見

近年、糖尿病や心筋梗塞、脳卒中をはじめとするさまざまな疾患の危険因子としてメタボリックシンドロームが注目されている。メタボリックシンドロームでは、脂肪組織に慢性炎症が発生し、全身に悪影響をもたらすと考えられているが、そのメカニズムは解明されていない。

東京大学医学部附属病院の研究グループは10月25日、マウスにおいて、そのメカニズムの一端を発見したと発表した。

(画像はwikiメディアより引用)

脂肪組織には多くの免疫細胞が存在し、これまでマウスではCD8陽性T細胞や炎症性マクロファージといった細胞が炎症を進めることが分かっていた。しかし、炎症の始まりやその制御など詳細なメカニズムは、依然不明な点が多いままであった。

東京大学医学部附属病院の研究グループは、今回、マウスの脂肪組織に、リンパ球のひとつであるB細胞の一種である制御性B細胞が多数存在することを発見した。このB細胞の多くは、炎症を抑えるサイトカイン(インターロイキン 10)を分泌しており、脂肪組織の炎症を抑える役割をもつことが確認されたという。

人為的に強めることで、治療応用も

さらに、サイトカインであるインターロイキン 10を生産できないB細胞をもつマウスでは、肥満に伴う脂肪組織の炎症が悪化するだけでなく、肥満によって生じた糖尿病の状態も悪くなったという。

このことから、脂肪組織にある制御性B細胞の働きは、全身の代謝の制御にも大きく影響するものであることが判明した。この脂肪組織の制御性B細胞は、マウスだけでなく、肥満状態になると、ヒトにおいてもその数と機能が低下することも分かった。結果として、肥満脂肪組織では炎症を進行させる免疫細胞の働きが、この炎症を抑える制御性B細胞の働きを上回り、炎症拡大を生んでいることが強く示唆された。

研究グループでは、今回新たに発見された制御性B細胞の働きを人為的に強めることにより、脂肪組織の炎症を抑えられる可能性があるとみている。今後、この脂肪組織の制御性B細胞は、メタボリックシンドロームにおける新たな治療標的になると期待されるだろう。

なおこの研究成果は、「Cell Metabolism」オンライン版に米国東部夏時間の10月24日付で掲載された。(紫音 裕)

▼外部リンク

東京大学医学部附属病院 プレスリリース
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/

Cell Metabolism : Adipose Natural Regulatory B Cells Negatively Control Adipose Tissue Inflammation
http://www.sciencedirect.com/science/article/

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