これまでにマウス細胞で成功
京都大学は10月14日、ヒトの皮膚線維芽細胞から軟骨細胞様細胞へiPS細胞を経ずに直接変換することに成功したと発表した。
(画像はプレスリリースより)
これはiPS細胞研究所教授・妻木範行氏、大阪大学医学系研究科研究員・王谷英達氏らの研究グループによる成果。アメリカの科学誌「PLOS ONE」のオンライン版に掲載された。
研究グループはこれまで、マウス皮膚線維芽細胞に2つのリプログラミング因子(c-MYC、KLF4)と、1つの軟骨因子(SOX9)を導入することでiChon細胞へと直接変換できることを報告しており、今回はヒト皮膚線維芽細胞を用いて同じ3つの因子(c-MYC、KLF4、SOX9)を導入することにより、軟骨細胞様細胞を直接誘導できることを明らかにしたもの。
軟骨細胞の供給手段に
軟骨は修復能力が乏しく、損傷を放置すると線維化などの変性を生じ、関節機能への障害や痛みなどを引き起こす。治療法のひとつとして細胞移植が試みられているが、充分な量の高品質な軟骨細胞を用意することは困難で、どうしても修復された組織に線維性組織が含まれてしまう。
この研究では変換の際に、腫瘍形成に大きな影響を与えるとされるc-MYCの遺伝子を導入していることなどから、ヒトの治療で応用するためにはさらなる改善が必要だが、ニュースリリースでは
細胞を直接変換する方法は軟骨再生において軟骨細胞を供給する手段の一つとなることが期待できます。(京都大学ニュースリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
京都大学 ニュースリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2013_1/13