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東大病院など ALSの新たな原因遺伝子発見

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2013年10月21日 PM03:00

東大病院研究チームが国際共同研究で

東京大学医学部附属病院は、同医院神経内科教授 辻省次氏らの研究チームが、日本、カナダ、フィンランド、米国、豪州の研究者による大規模な国際共同研究で、筋委縮性側索硬化症()の新たな原因遺伝子を発見したと発表した。この研究成果は「American Journal of Human Genetics」オンライン版に、現地時間の10月10日付で掲載されている。

ALSは、家族性ALSの一部を除いて、その原因が今も不明であり、根本的な治療法が見つかっていない。研究チームでは、ALSの原因遺伝子として知られている遺伝子には変異が見られない家族性ALSの一家系において、遺伝子マーカーによる連鎖解析と次世代シーケンサーを用いた全ゲノムの解析を組み合わせて分析した結果、新たな原因遺伝子ERBB4を発見したという。

(画像はwikiメディアより引用 参考イメージ Author:Emw

根本的治療につながる分子標的発見に期待

さらに国内外の他施設共同研究により、稀ではあるものの、このERBB4遺伝子の変異を有する家系が人種を越えて存在することを確認したという。また、孤発性ALSのなかにも、本人における突然変異である新生突然変異を有する例があることも分かったそうだ。

ERBB4遺伝子によってつくられるErbB4蛋白質は受容体型チロシンリン酸化酵素で、神経栄養因子であるニューレギュリンに刺激されると、自己リン酸化され機能を発揮する。研究チームが培養細胞に変異したERBB4遺伝子を導入したところ、ErbB4の自己リン酸化能が低下し、ErbB4の機能低下がALSの原因となることを確認できたという。

この研究結果は、ニューレギュリンのような神経栄養因子により、ErbB4を活性化することが、ALSの根本的な治療につながる可能性を示唆している。また、従来の方法では疾患原因遺伝子を発見することが困難であった小規模な家系に、DNAの塩基配列を高速かつ大量に解析可能な次世代シーケンサーを用いて全ゲノム解析を行ったことで得られた成果であり、さらなる研究の進展も期待される。(紫音 裕)

▼外部リンク

東京大学附属病院 プレスリリース
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release_20131011.pdf

American Journal of Human Genetics 該当論文
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/

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