点滴静注剤「エボルトラ(R)」
サノフィ株式会社(東京都新宿区)は、6月21日、再発または難治性の急性リンパ性白血病(ALL)を適応とした抗悪性腫瘍剤「エボルトラ(R)点滴静注20mg」(一般名:クロファラビン)を発売した。
(画像はwikiメディアより引用)
同薬は、今年4月にジェンザイム・ジャパン株式会社から製造販売承認をサノフィに承継したもの。
ジェンザイムから承継
2005年の未承認薬使用問題検討会議において、医療上の必要性が高い薬剤として取り上げられ、2007年に厚生労働省よりジェンザイムが開発申請を受けていた。
その後、2010年に開発を開始、再発または難治性の急性リンパ性白血病の適応で、今年3月にジェンザイムが製造販売承認を取得していた。
DNA合成阻害・アポトーシス誘導
クロファラビンはデオキシアデノシン誘導体で、遺伝子DNAやRNAを構成する塩基のうち、プリン環(アデニンとグアニンにある)の代謝拮抗剤として作用。
DNAポリメラーゼ阻害、リボヌクレオチド還元酵素阻害、デオキシシチジンキナーゼへの高親和性によって、DNA合成を阻害、アポトーシスを誘導する。
同系の薬剤として、フルダラビンとクラドリビンがあり、FDAでは既に承認を得ているが、国内ではいずれも未承認であった。
今回発売されたエボルトラ(R)は、通常52mg/体表面積を約2時間かけて点滴静注する。これを毎日1回、5日間投与を1コースとし、9日以上あけて反復する。
副作用として、肝障害や発疹が認められる。
薬剤抵抗性の再発や難治性白血病に光
急性リンパ性白血病は、小児の血液腫瘍疾患に最も多いがんで、現在では治療成績が向上しつつあるが、再発や難治性の場合には、多くの抗がん剤に対して抵抗性を示し、その場合に使用できる新規治療薬による予後の改善が求められていた。
同社は、本剤の販売によって、急性白血病患者へ新しい治療の選択肢を提供できるようになるとしている。(長澤 直)
▼外部リンク
サノフィ株式会社プレスリリース
http://www.sanofi.co.jp/