空間除菌は可能なのか?、指摘される二酸化塩素の危険性
インフルエンザやノロウイルスの流行を受けて、二酸化塩素を使用した空間除菌グッズが注目を集めている。特に首に掛けるだけの携帯用タイプは外に出かけるときにも手軽に使用できるうえに、プロスポーツ選手や芸能人も使用しているということもあり、飛ぶように売れている。
二酸化塩素は強い酸化力を持ち、プールの水の殺菌に使用されるなど、除菌や消臭効果はあるものの、特に携帯タイプの場合、使用環境が大きく異なるなかでインフルエンザやノロウイルス予防としてどれほどの効果があるのかは、明らかになっていないのが現状だ。
独立行政法人国民生活センターの資料によると、二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品は、二酸化塩素の拡散度合いが商品によって大きくことなり、なかには二酸化塩素の放出がほとんど確認できないものも存在する。
事業者へのアンケート調査においても、ほとんどの事業者が効果を確認していないという結果になっている。
子どもは特に注意。健康にも悪影響の可能性
二酸化塩素による健康への悪影響も指摘されている。高濃度の塩素系ガスを直接吸い込むと、粘膜を刺激し、気管支炎や喘息を引き起こす可能性がある。国民生活センターにも、塩素系除菌グッズの安全性に関する問い合わせが寄せられている。
塩素系ガスの吸入による身体的影響に関するデータは少ないのが現状であり、子どもが使用する際には特に注意が必要だ。事業社によっては、乳幼児の近くでは使用を避けるべきだとしている。
また、二酸化塩素は日本国内においては殺菌剤としての認可を得ていないうえに、有効性が判明していないなかで、新型インフルエンザ対策やノロウイルスなどの感染症予防をうたうなど、薬事法に抵触すると考えられる商品も存在する。(大沢雅子)
▼外部リンク
独立行政法人国民生活センターホームページ
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20101111_1.pdf