からだの中から感染予防
重篤な感染性胃腸炎を引き起こすウイルスのひとつノロウイルス。2006年以降、ほぼ毎年冬に流行を続けており、今年も11月中旬以降、全国的に流行拡大、猛威をふるっている。
(ノロウイルス 電子顕微鏡像:ウィキメディアより引用)
これを受け、昨年5月、順天堂大学大学院医学研究科プロバイオティクス研究講座により発表された「乳酸菌にはノロウイルスによる感染症胃腸炎の発熱を緩和する効果を確認した」という研究結果が再び関心を集めている。
同研究では、免疫力の弱い高齢者(介護老人保健施設に入所している77名:平均年齢84才)を対象に、ラクトバチルス カゼイ シロタ株(以下、乳酸菌)を摂取してもらい、同ウイルスによる感染性胃腸炎の防御効果について調べた。
乳酸菌飲料の軽減効果を確認
被験者を2グループ(乳酸菌飲用:39名、同非飲用:38名)に分け、長期間継続で飲用してもらいデータを収集した。
開始2か月後、施設内にてノロウイルス感染症胃腸炎が多くの被験者に発症した際、その発生率において両グループ間に大きな差はみられなかったものの、37℃以上の発熱日数について、乳酸菌飲用グループでは非飲用グループに比べ、明らかな軽減がみられた。(グラフはリリースニュースから引用)
ノロウイルスへの効果(乳酸菌飲用による発熱症状軽減)の確認は、世界初という。
また、乳酸菌を継続的に摂取することで有用菌の増加ならびに有害菌の減少など腸内環境の改善が認められた。(グラフはリリースニュースから引用)
免疫力を高め、感染を防ぐ効果が期待
低下したNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性の再活性化を促す効果も認められていることも合わせ、抵抗力の低い高齢者の免疫力を高める対策として、また、感染症を防ぐ効果が期待されている、としている。
特効薬がないとされるノロウイルス。手洗い、うがい、調理器具の除菌など、日常における予防対策はもちろん、継続的な乳酸菌飲料摂取など、からだの中からの予防対策も推奨されるとしている。
▼外部リンク
順天堂大学大学院医学研究科 プレスリリース/共同通信 PRワイヤー
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201105096379/