治験では、84.2%の知覚回復効果が認められる
東洋紡績株式会社は、病気や事故などで損傷した神経の再生を促進させる新しい治療用医療機器「神経再生誘導チューブ」を開発したと発表しました。
病気や事故などで神経が損傷した場合に行われる、「自家神経移植」や「神経縫合」などの手術では、「自家神経移植」では、患者の健常な部位の神経の採取が必要であり、「神経縫合」では、知覚異常や痛みが残ることもあり、どちらの手術の場合でも、患者に大きな負担をかけていました。
この「神経再生誘導チューブ」は、断裂した神経の欠損部分(ギャップ)にはめ込み、固定する方法のため、施術時間を大幅に短縮でき、患者の負担も減らすことが可能に。また、手、指の神経損傷に対する治験では、84.2%の知覚回復効果が認められ、さらに、神経欠損部の長さ(欠損長;ギャップ)が20mmを超える症例でも、有効性が確認されたそうです。
「神経」が再生しやすい構造で治療効果も高まる
「神経再生誘導チューブ」は、新たに開発された医療用コラーゲン(「NMPコラーゲンPS」日本ハム㈱社製)を、チューブの内側と外側に塗り、外側からも栄養血管を誘導できる構造になっています。
断裂していた神経は、そのチューブの内側で再生し、チューブ自体は、3ヶ月程度で分解・吸収される素材でできています。
東洋紡では、今年2月に厚生労働省へ製造販売承認申請を行っており、2013年春に、製造販売承認を取得するとともに販売を開始する予定であるとしています。
▼外部リンク
東洋紡績株式会社 ニュースリリース
http://www.toyobo.co.jp/news/2012/release_3242.html