東北大学は2日、新規のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症治療薬の研究・開発をし、世界的にヘルスケア・ソリューションを展開しているMerck&Co.Inc. Whitehouse Station N.J. U.S.A.に独占的ライセンス供与を行い本格的な臨床開発段階へ進んだことを発表した。
この感染症治療薬は東北大学がヤマサ醤油株式会社、熊本大学、京都大学、横浜薬科大学と共同で研究・開発を行なってきたもで、東北大学病院内科・総合感染症科の児玉栄一助教、熊本大 エイズ学研究センターの満屋裕明教授、同・岡田誠治教授、京大 ウイルス研究所の松岡雅雄教授、横浜薬科大の大類洋教授らの共同研究グループによるもの。
エイズを引き起こすことで知られているHIVは、ヒトの免疫活動に必要なリンパ球「CD4陽性T細胞」に感染し免疫力を低下させるため、今までは複数の抗HIV薬を使用し患者の症状を軽減し寿命を伸ばすことや二次感染を阻止することを可能にしてきた。
しかし治療が長期間すると抗HIV薬に対して耐性をもった変異株が出現し「薬剤耐性HIV」となって治療の効果がなくなってしまうことがある。
今回臨床開発に進む「EFdA」はこの薬剤耐性HIVに対する新薬候補で、既に耐性を獲得した変異株にもも抗ウイルス活性の効果が認められている。
既にマウスでの実験を経て、サルに対する投与も行われているが、その中でもHIVの増殖を阻止しCD4陽性T細胞の感染を抑止するだけでなく、副作用もないとされている。
米国の製薬企業メルク社にライセンスが渡ったことで、実用化への期待も高まるであろう。
▼外部リンク
東北大学 プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2012/cate_press/
メルク社 ホームページ
http://www.merck.com/index.html