厚生労働省は、電力需給の状況が厳しい関西電力、北海道電力、四国電力、九州電力管内の医療機関において、「計画停電」時においても通電される医療機関を発表しました。
政府は、「計画停電」は「不実施が原則」としています。しかし、「計画停電」が実施された場合でも、救急患者の搬送や地域の医療提供体制にできる限り支障がでないよう、以下の1922の医療機関については、通電を行うとしています。
■ 救命救急センター ■ 周産期母子医療センター ■ 災害拠点病院 ■ 自治体立病院 ■ 地域医療支援病院 ■ 国立ハンセン病療養所、国立高度専門医療研究センター、国立病院機構、労災病院、社会保険病院、厚生年金病院、日本赤十字病院、済生会病院、厚生連病院、北社協病院 ■ 大学病院 ■ 2次救急医療機関等
しかし、当然ながら、この通電される施設の対象外となった医療機関では、医療関係者や患者ともに、危機感を募らせています。
(image by suneko’s photostream)
東日本大震災後、東京電力管内では、実際に計画停電が行われ、医療機関では様々な混乱が発生しました。
日本医師会総合政策研究機構では、「東日本大震災に伴う計画停電・電力需給対策における病院・診療所への影響と対応に関する研究」を行い、「計画停電」が医療機関に与えた影響について調査・分析を行い、公表をしています。
停電時、医療機関では、
- 外来において急患患者の受入れ不可能
- 検査が行えない
- 透析等が行えない
- 診療が行えず機能しない診療科が出た
- スタッフの時間外勤務が増える
- エレベーターが動かない(配膳困難・患者搬送困難・重量物搬送が行えない)
- 医療機器が動かない(呼吸に関連する延命措置が行えない)
- 集中治療室の対応
- セキュリティーの課題(ナースコールが使用不可、患者モニターの停止)
(「東日本大震災に伴う計画停電・電力需給対策における病院・診療所への影響と対応に関する研究」より引用
などの深刻な影響が起きていますが、他にも停電による断水、薬剤部門のシステム停止など、多くの問題が発生しました。
今回の関西電力、北海道電力、四国電力、九州電力で考えられている「計画停電」は、「不実施が原則」と政府はしていますが、万が一行う場合、前日18時に警報、当日朝9時に警報の続報、計画停電の開始3~4時間前に政府から「緊急速報メール」を発信、2時間程度前に計画停電の実施を発表するとしています。
▼外部リンク
厚生労働省
計画停電が実施された場合の医療機関等の対応について
http://www.mhlw.go.jp/
日本医師会総合政策研究機構
東日本大震災に伴う計画停電・電力需給対策における病院・診療所への影響と対応に関する研究
http://www.jmari.med.or.jp/